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コラム/頸髄損傷等による重度後遺障害とリフォーム費用

2018/02/19

shimoyama

Auther :下山 和也

頸髄損傷等による重度後遺障害とリフォーム費用

1 頸髄損傷等による重度後遺障害

歩行者対自動車の事故の場合などでは,歩行者は大きな怪我を負い,重篤な後遺障害が残ることがあります。
この重篤な後遺障害に対する損害について,仙台地裁平成27年3月30日判決にて,頸髄損傷による四肢不全麻痺の障害が残り,自賠責の後遺障害認定で1級1号の認定がなされた被害者の自宅リフォーム費用等の判断が示されました。

 

2 重度後遺障害特有の損害

(1)将来介護費
介護・介助が必要な後遺症が残る場合,被害者には,介護・介助する人が必要となります。
近親者が介護する場合もあれば,職業介護人に依頼することもあるでしょう。
近親者介護の場合,損害を請求できないと誤解されている方もいますが,近親者介護も介護費用として損害の請求が可能です(ただし,職業介護人よりも金額は低く認定される傾向にあります)。
現に特定の近親者が介護している場合は,その近親者の就労可能年数までは近親者介護,就労可能年数経過後は,職業介護人による介護と仮定して,介護費用を算定する裁判例もあります。

(2)家屋改造費
介護・介助が必要な後遺症が残る場合,被害者の居宅で生活するためには,バリアフリー化等の居宅の改造が必要になります。
この居宅改造費用も,一定の範囲で損害として認められます。

 

3 仙台地裁平成27年3月30日判決

(1)将来介護費
本判決では,被害者の配偶者が介護をしていたようですが,被害者の症状固定後平均余命到来までの23年間について,日額1万円の将来介護費用が認定されました。
(2)家屋改造費
被害者は,体温調節が困難になったため,被害者の居室を改造し断熱効果を高め,暖房について火災等の危険のないものを加え,居宅の1階をバリアフリー化しました。この他にも,システムキッチンの設置,照明器具の取り換え,耐震補強工事,植栽工事等の工事も行いました。
本判決では,被害者の居宅が築20年を経過していることから,改造によって建物の設備が新しくなるなど利便性が一定程度高まると考えられることから,工事費用の全額ではなく,70%を改造費用として認定しました。

 

4 介護・リフォームの損害立証の重要性

不幸にも介護・介助が必要となる後遺障害が残存した場合,介護費用・介助費用については,介護の実態に即した主張・立証が必要となります。
また,居宅の改造費も損害として認定される可能性が高いため,ハウスメーカー・リフォームメーカー等とも連携して,被害者及び介護者に可能な限り負担のないよう合理的なリフォーム計画をし,その費用も損害として主張・立証することが求められます。

 

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