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コラム一覧

2021/12/22

okai

Auther :岡井 将洋

交通事故でよく問題になる「因果関係」について、シーンに分けて解説しています。第1回は「事故とケガとの因果関係」(リンク:https://www.aster-kotsujiko.net/column/462)を、第2回は「交通事故と治療期間の因果関係」(リンク:https://www.aster-kotsujiko.net/column/483)を、それぞれご説明してきました。

今回は、症状固定後に残存した症状、後遺障害についてご説明します。

 

シーン③ 「事故と後遺障害との因果関係」

 

1 交通事故によるおケガは、病院などで治療を受けても、常に「治癒」するわけではありません。因果関係が認められる治療期間(上記シーン②をご参照ください)後も、症状が残存してしまうことがあります。

交通事故賠償においては、この残存した症状について、自賠責保険による「後遺障害認定」を受けた上で、相手方保険会社と賠償金の交渉を進めることが一般的です。何らかの理由により自賠責保険で適正な等級の認定が受けられない場合は、裁判において、後遺障害の内容や程度についての判断を求めることになります。

しかし、事故後に症状が残っているからといって、必ずしも「後遺障害」と認められるわけではありません。

今回は、この「事故と後遺障害との因果関係」についてご説明します。

 

2 後遺障害が認められないケースとしては、大きく分けて2つの理由があります。

その1つは、今回ご説明する「事故との因果関係が認められない」と判断されてしまうケースです。

そしてもう1つは、事故から生じた障害ではあるものの、「後遺障害と認められるだけの程度に達しない」場合です。このケースは、例えば、むち打ち症の痛みが残存しているような場合に、「将来においても回復が困難と見込まれる障害とは捉え難い」と言われるようなケースです。むち打ち症については、過去のコラム記事「むちうち(鞭打ち)について」(リンク:https://www.aster-kotsujiko.net/column/142)や、「むちうち治療のポイント」(リンク:https://www.aster-kotsujiko.net/column/141)をご覧ください。

 

3 シーン①やシーン②でもご説明したように、交通事故によって賠償される範囲は「事故によって」生じたもの、つまり、(医学的・科学的な)条件関係があって、「相当」といえるものに限られます。

後遺障害についても、事故とは関係のない原因で生じてしまった症状については、賠償の範囲として認められなくなります。

しかし、交通事故の被害者からすれば、実際に事故後に症状が生じているという「事情」に変わりはないため、なかなか納得がいかない部分でもあります。

 

4 症状が残っているにもかかわらず、交通事故との間の因果関係が認められないケースは、「原因が事故であると認められない」と言われてしまうケースです。

交通事故とは別に、階段から転倒してしまって腕の骨を折り、機能障害が残ってしまったというケースであれば、交通事故の賠償の対象とならないことは理解しやすいでしょう。しかし、実際のところ、「原因が事故であると認められない」ケースは、事故とは別の原因が必ずしもはっきりしていない場合が少なくありません。  自賠責や裁判所では、事故のひどさ、おケガの内容や治療経過などから、最終的に症状が残るとは考え難い、交通事故外傷以外の原因で生じた可能性があるとして、実際に残存した症状が交通事故によって生じたものとは判断できないと否定される場合もあります。

被害者側としては、主治医のご意見を伺ったり、病院等のカルテの開示を受けたりしながら、残った症状は交通事故から生じたものと考えることが合理的であるとの説明、立証をしていくことになります。しかし、検査の結果からもはっきりとした原因が特定できない場合などは医師も症状があることまでは診断できても、交通事故によって症状が残ったと断定できないこともあります。

出来る限りの調査や準備を行い、事故と残った症状との因果関係を検討することになりますが、このように、困難な場合があることは、皆様にも知っておいていただきたい点です。

 

5 当事務所では、協力関係にある医療調査会社による医学調査や医師鑑定を利用しています。費用は別途かかりますが、弁護士費用特約によって賄うことができる場合もあります。

保険会社から因果関係を否定された場合でも、一度弁護士法人アステル法律事務所へご相談ください。

2021/11/22

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Auther :アステル

1.消滅時効について

我が国では、権利不行使の状態が一定期間継続した場合に、その権利が消滅する制度(これを「消滅時効」といいます。)が採られています。例えば、お金を貸した場合であっても、取立てをしないまま一定の期間が経過すると、返還を求めることができなくなることがあります。詳しくはこちらをご覧ください。

交通事故のような、不法行為に基づく損害賠償請求権の場合、2020年4月1日以降に生じたものについては、被害者が加害者及び損害を知った時から3年生命・身体の侵害の場合は5年)、または、不法行為の時から20年が、消滅時効期間になります。

消滅時効の成立には、消滅時効期間の経過に加え、債務者による消滅時効を主張する旨の意思表示(これを「消滅時効の援用」といいます。)が必要です。

 

2.最高裁令和3年11月2日判決のご紹介

1)問題の所在

交通事故の場合に発生する損害は、大きく分けて、人身損害と物的損害に整理されます。詳しくはこちらをご覧ください。

人身損害には、入院・通院時に発生するものがあり、その内容・金額は、入院・通院期間が終了しなければ確定しません。詳しくはこちらをご覧ください。後遺障害認定申請を行う場合は、その結果が定まる時まで、更に後倒しになることもあります。

これに対し、物的損害は、通常、交通事故発生後まもなく修理金額が確定しますし、レンタカー代や休車損についても、遅くとも相当な修理期間・買換期間の経過をもって、その内容・金額を確定させることができます。物的損害の種類については、詳しくはこちらをご覧ください。

通常の場合、物的損害よりも、人身損害の内容・金額が確定する方が遅く、入通院期間によっては、数ヶ月以上の差が生じることがあります。そのため、上記の「被害者が加害者及び損害を知った時」(これを「消滅時効の起算点」といいます。)というのが、①人身損害については入院・通院期間の終了時、物的損害は修理金額、レンタカー代等が確定した時と、損害の内容によって異なるのか、②損害の内容を問わず、1つの交通事故から発生した損害のすべてが確定する入院・通院期間の終了時なのか、が明確に定まっていませんでした。

2)最高裁の判断

最高裁は、人的損害と物的損害とは、同一の交通事故により同一の被害者に生じたものであっても、被侵害利益が異なるため、法律上、別個の損害賠償請求権と考えられ、そうである以上、消滅時効の起算点は人的損害と物的損害それぞれについて別個に判断されるべきとして、上記①の見解を採用しました。

 

3.注意すべきこと

過失割合や損害額等、双方の見解・主張に隔たりが大きく、スムーズな解決ができないこともあります。話し合いによる合意が見込めない場合、訴訟による解決を図るほかありません。

加害者加入保険会社からの提示額に納得がいかないものの、こちらの主張に耳を傾けてくれないので交渉するのが億劫になった、弁護士に相談することに気が引けてしまった等の理由で、つい後回しにしてしまうという話もよくおうかがいします。

本来受け取れたはずの賠償金が請求できなくなってしまうことのないよう、はやめに弁護士にご相談ください。弁護士への相談のタイミングについては、こちらをご覧ください。

 

お困りの際は、弁護士法人アステル法律事務所へご相談ください

2021/09/29

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Auther :アステル

第1回は「事故とケガとの因果関係」というテーマで、そのおケガや症状が本当に交通事故から生じたものと認められるかどうかが争いになることがあることをお伝えしました。(まだ読まれていない方は、こちらの記事をご覧ください。)
第2回は、交通事故から生じたおケガや症状の治療を行っている場合に、「治療期間」が争われることがあることに焦点を当てて解説してみます。

シーン② 「交通事故と治療期間との因果関係」

1 交通事故で困っている方は、大きく分けて2つのタイミングで弁護士に相談にいらっしゃいます。
1つは、相手方保険会社からの損害賠償金の提案があった場合に、その金額が妥当な金額なのかを知りたい、という方です。
そしてもう1つが、まだ痛みも取れていないのに、相手方保険会社からこれ以上は病院の治療費を見ることはできないと言われた場合に、相手方保険会社の対応に困って相談される方です。
このように、「治療の期間」について、相手方保険会社とのやり取りに困っている方は多くいらっしゃいます。
今回は、この「治療期間」について、少し法的な説明も含めてご説明します。
なお、治療期間については、以下の記事もご参照ください

・治療費に関する注意点
https://www.aster-kotsujiko.net/column/275

・入院・通院時の損害賠償
https://www.aster-kotsujiko.net/column/42

2 さて、シーン①の記事で簡単に説明しましたが、交通事故による損害賠償は、民法709条に規定される「不法行為に基づく損害賠償請求」を前提としています。
そして、加害者に賠償請求できる損害の範囲は、不法行為である交通事故と「因果関係」のある範囲に限られます。
因果関係とは、不法行為と損害との間に(医学的・科学的な)条件関係があって、かつ賠償責任を負わせることが社会的に「相当」と言えるものに限られる、ということもご説明しました。
この「因果関係」の考え方は、交通事故によって生じたおケガや症状の「治療期間」にも影響を及ぼします。
つまり、「因果関係が認められる治療」であれば、その治療費やその期間の休業損害や慰謝料も、因果関係のある損害として認められることになりますが、因果関係が認められない部分については、相手方に請求できる損害には含まれない、ということになるのです。

ここで押さえておかねばならないのは、交通事故賠償の治療期間として認められるのは、事故後から、「治癒」または「症状固定」のいずれか短い時点までに限られるということです。
「症状固定」とは、①治療を続けても、その効果が期待しえない状態で、かつ、②残存する症状が自然的経過によって到達すると認められる最終の状態に達したとき、と言われています。つまり、病院での治療を施したとして、功を奏さない段階になると症状固定と判断されるということになります。

3 保険会社との間で問題になるのは、「被害者に生じているおケガや症状に対して、治療期間が合理的な範囲、つまり『相当』と言えるのか」という点に尽きます。
頸椎捻挫や腰椎捻挫による首回りや腰の痛みが残っている場合に、3か月程度の治療期間を超える治療を保険会社が認めてくれない、というのが典型的なケースです。
保険会社は、頸椎捻挫の一般的な治療法や治療期間などを根拠に、「通常はこれくらいで治る(又は症状固定になる)はず」、「それ以上の治療を要するというのはもともと事故とは別の原因があるのではないか」と考えて、その意見を伝えてきます。

被害者は、日ごろから自分の症状を診てもらい、治療を担当していただいている主治医に、きちんと症状を伝え、医師の見解を聞くことが重要です。
はたして自分に残存している症状は何かしらの治療によって今後も改善していくのか、症状固定の判断ができるタイミングなのか、主治医の見解を聞きましょう。
将来的に、相手方保険会社と争いになった場合は、相手方が認めていない期間の治療について、症状固定の状態になかったことを示していく必要があります。
当時の主治医の判断がどのような判断であったか、その後の治療によって症状の改善がみられたか、その後の症状の推移がどのようなものだったか、などです。
これらの対応をしていくためにも、きちんと医師の診断を受け、医師の指示に従った必要な検査や治療を行うことが必要でしょう。

4 医師のお話を聞いてみると、医師も同様に「症状固定の状態である」と判断されることもあると思います。
被害者の方としては、「交通事故に遭って、ケガをして、痛みがまだ残っているのにどうして相手方が治療費を認めてくれないんだ。」とお感じになることも多いでしょう。
交通事故賠償においては、症状固定の際に残った症状について、「後遺障害」に該当するものであれば、後遺障害に関する損害内容として、相手方に請求していくことになります。
そこで、相手方保険会社がそろそろ治療終了ではないですか、と言われるタイミングで、是非一度アステル法律事務所にご相談ください。
治療期間の終了と判断することが妥当なのか、残存する症状について後遺障害として認められる可能性がどれくらいあるのかということは、相手方保険会社との交渉や、その後の解決のためにも重要な要素になります。
また、どのような対応を取っていけばよいのか、今後の流れはどのようになるのかなど、皆さんがご不安に思う点についても、併せてご回答させていただいています。

治療期間について相手方保険会社からお話が出た場合、アステル法律事務所の無料法律相談をご利用ください。

2021/07/27

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Auther :アステル

「交通事故の場合は、健康保険証は使用できないと聞いたことがある。」、「加害者保険会社から、健康保険証を使用して欲しいといわれたが、交通事故によるケガなのにどうして保険証を使用しなければならないのか。」という相談者の方がいらっしゃいます。

そこで、今回は、交通事故と社会保険等(健康保険組合、協会けんぽ、共済組合、船員保険、国民健康保険)の関係についてみていきたいと思います。

 

1 交通事故によるケガの治療に社会保険・共済(の保険証)は使用できるの?

交通事故によるケガの治療にも、社会保険・共済を使用することができます。法律(健康保険法57条等)には、交通事故によるケガの治療に社会保険・共済を使用することができることを前提とした規定があります。昭和43年に厚生省(現在の厚生労働省)は、交通事故によるケガの治療に社会保険・共済を使用できることを住民、医療機関等に周知するよう通知(昭43・10・12保険発106)を発したりもしています。

2 交通事故によるケガの治療に社会保険・共済(の保険証)を使用する場合の手続

ただ、交通事故によるケガの治療に社会保険・共済(の保険証)を使用する場合は、「第三者の行為による被害届」を作成して提出する必要があります。「第三者の行為による被害届」には、加害者の念書等を添付することが求められます。

加害者が任意保険に加入している場合は、その任意保険会社が「第三者の行為による被害届」の作成の手伝いや念書等を加害者から取り付けしてくれることが多いです。

3 交通事故の治療に社会保険・共済(の保険証)を使用すると何か「いいこと」があるの?

それでは、治療に社会保険・共済(の保険証)を使用すると、何か「いいこと」があるのでしょうか。任意保険会社の手助けが期待できるとはいえ、被害者が「第三者の行為による被害届」を作成提出という手間をかけてまで、治療に社会保険・共済(の保険証)を使用する意味があるのかというお声はよく聞きます。

実は、被害者にも過失があるケースでは、治療に社会保険・共済(の保険証)を使用するメリットがあります。

被害者にも過失がある場合は、損害賠償額の算出にあたって、治療費を含む総損害額について過失相殺が行われます。このことは、治療費のうち、被害者の過失割合に対応する部分は、被害者自身が負担しなければならないということを意味します。

例えば、交通事故の過失割合が、加害者80%:被害者20%であるケースで考えてみましょう。このケースでケガの治療に50万円がかかったとすると、被害者はその20%である10万円を負担しなければならないことになります。

ところが、社会保険を使用した場合、治療費等については、厚生省と社会保険庁の通知(昭和54年4月2日保険発第24号・庁保険発第6号)もあって、その総額から健康保険給付額を差引いた額(=自己負担額)に対して過失相殺を行うという運用が定着しています。訴訟を提起する場合も、被害者側からの請求は 治療費の自己負担部分のみを計上するのが一般的です。そうすると、社会保険(自己負担額が30%)を使用すると、被害者は、この自己負担額30%に対する自己の過失割合(20%)相当分(つまり、30%×20%=6%)のみを負担すればいいということになります。ケガの治療に(自己負担分と社会保険負担分を合計した総額)50万円が必要であれば、被害者の負担額は3万円で済むということになります。

任意保険会社が被害者との交渉の窓口となる場合、任意保険会社は、大きな過失相殺があるとき等を除いて、治療費等について「内払(損害賠償額の先払い)サービス」を行います。その際、任意保険会社は、治療費の全額を支払うことがほとんどです(多くは、医療機関等に直接支払います。)。しかし、内払で過失相殺せずに費用の全額を支払ったとしても、任意保険会社は、その損害賠償責任を認めたものではありません。最終的な損害賠償交渉時、任意保険会社は、治療費のうちの被害者の過失割合に応じた分は、他の損害項目から調整・減額したうえで最終支払額を算出します。ですから、任意保険会社が内払サービスを行う場合にも、治療に社会保険・共済(の保険証)を使用するメリットがあるということになります。

4 なお、労災保険が適用されるケースでは、健康保険を使用することはできないことになっていますので、ご注意下さい。

 

被害者は、交通事故直後で心理的な動揺・混乱が強い時期に、健康保険を使用するかどうかという問題に直面することになります。お困りの際は、弁護士法人アステル法律事務所へご相談ください。→こちら

 

2021/06/23

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Auther :アステル

~はじめに~

 

交通事故の損害賠償を進めるうえで、依頼者さんが最も分かりにくい法律用語が「因果関係」ではないかと思います。

なぜなら「因果関係」は私たちの生活の中で使われる意味と、法律上賠償責任を生じさせる場面で使う意味が異なるからです。

生活上で使う場合、「因果関係」は専ら「条件関係」という意味で使われます。つまり「あれなければこれなし。」です。この考え方では、被害者からすれば当然「事故がなければこの痛みは生じていない。」ので、どのようなものも賠償されるべきものではないか、と考えてしまいがちです。

しかし、交通事故による賠償責任を生じさせる場面では、①医学的(科学的)な条件関係が必要になり、さらに②賠償責任を生じさせることが社会的に「相当か」というフィルターも介されることになります。

このような「因果関係」について、保険会社と対立してしまうシーンごとにシリーズ化して、少し掘り下げてご説明していこうと思います。

 

 

シーン① 「事故とケガとの因果関係」

 

1 交通事故のご相談の際に、結構多いものの一つが、「事故後に身体が痛くなったのに、保険会社が治療費を対応してくれない。」というものです。

保険会社が治療費を払わないという対応をするのは、主として、被害者側の過失割合が大きい場合か、「事故とケガとの間の因果関係がない」と考えている場合です。

今回は、この「事故とケガとの因果関係」についてご説明します。

 

2 交通事故による損害賠償は、民法709条に規定される「不法行為に基づく損害賠償請求」を前提にしています。

この「不法行為に基づく損害賠償請求」というのは、故意や過失による違法行為(不法行為)により損害が生じた場合、被害者は不法行為者に対してその損害の賠償を請求できる、というものです。

このとき、賠償される範囲は、当該不法行為「によって」生じた損害となりますが、この「によって」の部分を「因果関係」といいます。

「因果関係」は、不法行為と損害との間に(医学的・科学的な)条件関係があって、かつ賠償責任を負わせることが社会的に「相当」と言えるものに限られています。

 

3 今回のシーン「事故とケガとの因果関係」について、保険会社が因果関係を否定して来るケースは、だいたい、①事故による物的損害が軽微である場合か、②痛みの原因となっている身体的変性が事故以外のものにより生じている可能性が高い場合、の2つです。

 

まず、①事故による物的損害が軽微である場合は、それほど大きな物的損傷がないのだから、身体にもそれほど影響があったとは考え難い、治療が必要な痛みが生じているのは事故以外に原因があるはずだ、という論理になります。

この場合、被害者としては、事故後直ちに医師の診察を受けることが大切です。その際、腫れや発赤、内出血などの外傷性変化の状況を確認してもらいつつ、事故の際にどのような姿勢だったか、事故の衝撃で身体をどのようにぶつけたか、どのようにひねったか等を医師に説明しておくことが重要です。

また、保険会社が治療費の支払いを否定したからといって、治療をしないのではなく、身体のメンテナンスもかねて、健康保険を利用しながらご自分の費用で治療を継続することをお勧めします。因果関係の立証に必要なMRIなどの検査を受けることも必要になります。

これらの事実を前提に、主治医や医療調査会社の顧問医などに医学的な意見を求め、保険会社や自賠責、将来的には裁判官に対して因果関係があるとの主張立証をしていくことになります。

 

②事故以外のものによる可能性が高い場合は、例えば、骨折箇所が外傷性変化とは別の部位に生じている場合や、ヘルニアの経年性変性などの場合が挙げられます。

事故による外傷性変性と説明がつかない場合は、残念ながら、すべてが事故によるものとして因果関係が認められることは困難でしょう。

このような場合、仮に因果関係が認められたとしても、そのような特別な身体的な特徴(法律用語では「身体的素因」といいます。)が重症化の一因になったとして、損害全体の賠償が認められるのではなく、割合を限定した賠償が認められる場合があります。

いずれにせよ、どのような理由で痛みが生じているのか、骨折やヘルニアなどの所見が事故による外傷性のものと説明がつくのかを検査し、医学的な意見を求める必要があります。

 

4 「事故とケガとの因果関係」について注意すべき点は、事故後に痛みが生じたことだけで、当然に因果関係が認められるわけではないということです。

被害者側としては、事故後に痛みが生じ、診察した医師も「事故が原因でしょうね」と説明することから、因果関係は「当然に」認められるはずだ、と考えてしまうことが多いでしょう。

しかし、医師も「患者の説明からすれば、ほかに要因はなさそうだから、事故による影響だろう。」と考えたことを伝えたにすぎない場合があり、事故との因果関係を精査して説明しているとは限りません。

必要なのは、医学的判断の前提となる事情、すなわち事故直後から治療の経過や検査内容などを医師に確認してもらい、これらを前提に、医学的な説明が可能であるかを確認することです。

 

5 実際に、どれだけ医療記録などを調査しても、事故との因果関係の立証が困難なケースもあるでしょう。

当事務所では、協力関係にある医療調査会社による医学調査や医師鑑定を利用しています。費用は別途かかりますが、弁護士費用特約によって賄うことができる場合もあります。

保険会社から因果関係を否定された場合でも、一度弁護士法人アステル法律事務所へご相談ください。→ご相談はこちら

 

 

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